シュガーロード~ カステラ饅頭~

2013年03月07日


先日、千鳥饅頭と八幡饅頭のことを書きました。
 詳細は シュガーロードのお菓子たち~千鳥饅頭と八幡饅頭~ をご覧下さい。

 この二つの饅頭は、カステラ饅頭です。
 カステラ饅頭というのは、小麦粉を原料とする堅いカステラ生地の皮に砂糖と豆を混ぜた餡が入った饅頭です。

 先日のブログにも書きましたが、北部九州の饅頭の特徴に、このカステラ饅頭(白餡)がとても多いのです。千鳥饅頭・八幡饅頭 ・田川饅頭・・・・それから地元、筑紫野の二日市温泉には、天拝饅頭があります。

 今日は、お店の前を通った事もあって、この天拝饅頭を製造販売しているお店、中村屋でお話を伺ってきました。

 「中村屋」は創業60数年になるそうです。創業者は今のオーナーさんのお父さんにあたる方で、新宿中村屋で修行をなさった後、二日市温泉でお店を開かれたそうです。

 お店の包装紙に 東京風 中村屋・・の文字が入っているのは、東京で修行をしたので・・とのこと。大昔は、東京・・というと、地方よりずっと進歩的なイメージなので、入れたのでしょう・・とのこと。オーナーさんが小さい時に、新宿中村屋から、偉い人(たぶん師匠にあたる人)が数回来たのを覚えている・・といわれてました。

 お店で最も古いお菓子は、天拝饅頭ですか?・・・とたずねると、今では作っていないけれど、月餅が一番古いそうで、これは、新宿中村屋でも作っていたそうで、それで一番古いお菓子になっているのでは・・とのことでした。小さなものを月餅、大きな物は別の名前をつけていたそうです。

 天拝饅頭の話から、カステラ饅頭ですね~・・というと、カステラ饅頭という言葉を久しぶりに聞いた・・と懐かしがられて、小学生の時に、店にこられたお客様から、カステラ饅頭ですか?と聞かれた時に、子供だったから、長崎のカステラと勘違いして、違います・・といってしまったという失敗を思い出した・・とのこと。

 そうですよね~、カステラっていうと、どうしても長崎のカステラみたいな物を想像しますよね~。カステラ饅頭の皮は、どちらかといえば、丸ぼうろのような感じです。天拝饅頭の皮も、丸ぼうろとあまり変わらない配合で作られてる(甘さは丸ぼうろのようにはないですが・・)そうです。

 皮の話から、餡の話になって、白餡は手亡豆を使っているとのこと。手亡豆がお値段的にも流通的にも手に入りやすいので、当初から手亡豆だそうです。トウロクスンの話をすると、トウロクスンは高級な豆なので、上生菓子を作っていた時は使っていたそうですが、今は使わないとのことでした。北部九州のお菓子で白餡が多いのはなぜだろう・・との話になり、やはり、栽培がなされていて、手に入りやすい材料であったのでは・・とのこと。実際に和菓子を作ってある方の考えはとても参考になるご意見です。

 天拝饅頭はこれ
シュガーロード~ カステラ饅頭~

直径5cm 高さ2.5cm
千鳥饅頭よりひとまわり小さい大きさです。





















中は白餡です
シュガーロード~ カステラ饅頭~















シュガーロード~ カステラ饅頭~


















(余談ですが・・・)私が好きな、包み紙のこの印刷。二日市温泉の上に、博多の文字。
かつて、二日市温泉は、博多の奥座敷・・と呼ばれていました。
(博多の中洲で飲んで、タクシーで温泉に来て、お泊り・・という感じだったそうです。)
二日市温泉は万葉の時代からある古い温泉です。明治時代には、あの夏目漱石が新婚旅行で訪れたらしいですよ。

 【取材をおえて】
 今日は、飛び込みでお話を伺ってきました。ラフな感じの取材でしたが、いろいろとお話をしてくださいました。福・博のお菓子屋は、古く見えても戦後のお店が多い感じです。それでも60年以上ですけどね。戦後すぐは、お菓子のような甘い物は渇望していた時代でしょうから、お菓子屋がたくさんできたのはわかるような気がします。ニーズがあるところに商売あり・・です。ちなみに、先だって、取材させていただいた【梅園】も戦後すぐで、中村屋とおなじく、修行先は新宿中村屋・・。この時代の修行先は新宿中村屋で・・というのが王道だったのかな・・って思いました。白餡のこと、ますます調べなくては・・という気持ちになりました。

 中村屋の天拝饅頭は、二日市温泉のお店でしか売っていません。
 ご興味のある方はぜひお店を覗いてくださいね。
 戦前の名物【湯の花羊羹】も復刻されてます。毎月2日に発売だそうです。 


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さて、ここでおさらいコーナー
 ~長崎街道(シュガーロード)について~
 長崎街道(シュガーロード)は江戸時代に整備された脇街道の一つで、小倉の常盤橋を起点として長崎にいたるまでの路線です。長崎の出島に入った砂糖はこのルートを通って大阪や江戸に運ばれました。この砂糖が通った道沿いには、さまざまなお菓子が生まれることとなります。そして、時代が下って、炭鉱が華々しい頃にそのお菓子たちは筑豊で大きく花開く事になります。今では全国的に有名になっている【ひよこ】や【チロルチョコ】などは筑豊生まれのお菓子です。
 私はこのシュガーロードを歩いて、お菓子が生まれた土壌、文化などを調べたいと常々思っていた・・というわけです。小倉~長崎までの宿場町に繁栄したお菓子、今でも残っている古いお菓子、新しい時代のお菓子、絶滅しかかっているお菓子など調べますよ。そして長崎まで調べたら、南蛮菓子の故郷、ポルトガルへ・・・と野望をいだいております。
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Posted by はなはな at 22:52│Comments(0)番外編
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