シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~

2013年03月28日

 2013年3月16日、 佐賀にいってきました。
 先にUPした記事は、ブログのテーマ 佐賀をご覧下さい  
 佐賀県の他のエリアも昨年12月に訪問しています。(田代 鳥栖 小城)
 
 今回の目的の一つ、佐賀の御菓子司 鶴屋(以下鶴屋)に行く・・・。
 鶴屋は、寛永16年(1639年)創業の老舗。鍋島藩の御用菓子司だったそう。
 
 その鶴屋で、肥前ケシアドというお饅頭が販売されている・・ということを知り気になったので本店まで買いに行くことを思いついたとうわけ。老舗なので、おひな祭りの会場でも、もちろん商品は販売されていたけれど、せっかくなら本店をのぞきたい。

 本店は西魚町にある。
 シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~

 

 
















 ちょうど、お店には他にお客がいなかったので、スタッフに古いお菓子のことなどをちょっとだけ伺うことができた。やはり、丸ぼうろが古いようだ。ケシアドの試食ができるというので、お茶と一緒にいただいていたら、どんどんお客さんが増えて、それ以上の話はできず、残念。またの機会に伺うことにするとして、たくさんある商品のうちに気になるものを2,3購入する。

 というわけで、今回はこの店のお菓子の事を、ざっと書く事にする。

●丸ぼうろ
 シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~
 
 




















 写真、左はブッセのような丸ぼうろ、中にクリームがはさんである。 右は丸房露 

 佐賀の代表的なお菓子・・といえば、丸ぼうろである。
 丸ぼうろのぼうろは、ポルトガル語のboloからきている。砂糖と小麦を混ぜた焼き菓子で、長い航海の保存食。300年前に伝わった南蛮菓子である。
 ぼうろ・・といえば、京都の蕎麦ぼうろや衛生ボーロも思い浮かぶが、佐賀の丸ぼうろとは固さは違うけれど、もともとはこの南蛮菓子から生まれたものらしい。
 *衛生ボーロは、名前だけ南蛮由来でした。材料は違います。

 この丸ぼうろをいち早く作り始めたのが、鶴屋。2代目太兵衛が長崎へ出向き、オランダ人から製法を学んだのが始まりだという。その当時はまだ固い焼き菓子だったらしい。

 その固いぼうろが現在のやわらかい丸ぼうろに変わるのは、明治になって卵を使うようになってから。明治になって製菓業に参入してきた北島によって、今の丸ぼうろが完成された。

 鶴屋の丸房露は、食べてみたら、やわらかく、もっちりとした中にひきがある感じ。その辺で販売されているものよりもふわっとしていて、味も甘くしっかりしている感じがした。

 この丸房露は早稲田の創始者、大隈重信も大好きだったようで、東京の自邸にわざわざ職人を呼び寄せて邸内で窯まで作って焼かせていた・・という話が残っている。

 実は、慶応の創始者、福沢諭吉の生誕地、中津(大分)にも丸ぼうろがあって、こちらは2枚が合体している形。以前このブログにもUPしたことがあるが、ちょっと不思議な形をしている。

 丸ぼうろの早慶戦のようでおもしろい。
 ちなみに佐賀の丸ぼうろは佐嘉房露、中津の丸ぼうろは中津芳露という。あてた字も違うのである。

 余談だが、鶴屋に伺っていた同じ頃、偶然、友人が東京の麹町にあるシャレー栄陽堂に丸ぼうろを買いに行ってくれたらしい。がしかし、今月の19日で閉店になるということで、買えなかったという。(東京で丸ぼうろを販売している・・というので購入を依頼していたのだ)今後は別の場所で、洋菓子部門だけで営業するらしい。126年続く老舗のお菓子屋だったので、とても残念な気がするが、これも時の流れ・・ということだろう。
 *シャレー栄陽堂補足: 創業者は佐賀の出身で、大隈重信を頼って上京されたようです。で、丸ぼうろで身をたてよ・・との助言でお店を始めた・・という歴史を持っているお店でした。かえすがえすも、閉店は惜しい。


●鶴まん
シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~ 
 














 カステラ饅頭である。
 カステラ饅頭の代表といえば、千鳥饅頭が有名だが、もともとは千鳥屋は、佐賀の松月堂(寛永7年創業)から生まれた店。佐賀が生みの親・・というわけだから、佐賀にも同じような饅頭が有るはず・・と思っていたら、鶴屋にあった。

 シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~
 
 


















大きさは直径5cm 高さ3.5cm
 
 シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~
 


















 中は白餡
 包み紙をあけると、カステラ饅頭特有の甘い香り。
 食べてみたら、思ったより、皮や餡の甘さが控えめ。餡は豆の味がする。

 
●肥前けしあど

シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~ 
 













 

 ケイジャーダというポルトガルのお菓子がある。バターやチーズの餡を皮で来るんだ素朴なお菓子だそうだ。それをモチーフとして現代風につくられたのが、この肥前けしあどだ。
 中はかぼちゃの餡。というのも、この南蛮菓子が伝わった頃の日本では、卵を食べていなかったので、代用としてかぼちゃを使って作ったといわれている。
 
 シュガーロードのお菓子たち~佐賀その6 鶴屋のお菓子~
 


















 皮は、ややぼそぼそした固い感じ。中に甘さひかえめのかぼちゃ餡がはいっている。
 かすかにするシナモンの風味がどこか遠い国から来たお菓子の雰囲気を醸し出している。

  他にもカステラなどお菓子の種類が豊富で、さすが老舗・・といった感じだった。
  機会があったら、次はもっと詳しくお話を伺いたい・・とおもっている。



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さて、ここでおさらいコーナー
 ~長崎街道(シュガーロード)について~
 長崎街道(シュガーロード)は江戸時代に整備された脇街道の一つで、小倉の常盤橋を起点として長崎にいたるまでの路線です。長崎の出島に入った砂糖はこのルートを通って大阪や江戸に運ばれました。この砂糖が通った道沿いには、さまざまなお菓子が生まれることとなります。そして、時代が下って、炭鉱が華々しい頃にそのお菓子たちは筑豊で大きく花開く事になります。今では全国的に有名になっている【ひよこ】や【チロルチョコ】などは筑豊生まれのお菓子です。
 私はこのシュガーロードを歩いて、お菓子が生まれた土壌、文化などを調べたいと常々思っていた・・というわけです。小倉~長崎までの宿場町に繁栄したお菓子、今でも残っている古いお菓子、新しい時代のお菓子、絶滅しかかっているお菓子など調べますよ。そして長崎まで調べたら、南蛮菓子の故郷、ポルトガルへ・・・と野望をいだいております。
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Posted by はなはな at 00:16│Comments(0)佐賀
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